嘘か真か
「大変だ、スーラ!」
クル(どうした、オロルン)
イクトミ仔竜に意識を移したスラーインはオロルンと一緒に生活をしている。家の中を掃除していたところ、庭で野菜の世話をしていたはずのオロルンが息を切らして飛び込んできた。
「フォンテーヌで急遽ナタ産の野菜が必要になったらしい。僕はそれを届けに行くことになったんだ。イファも一緒に」
クル!?(なんだと!?)
「海を越える大移動だし、大変だろうからスーラは留守番を頼む。じゃぁ行ってくる」
クルル!!(まてまてまて、オロルン)
「ぐえっ、コートの裾を引っ張らないでくれ首がしまる!」
クル!(俺もつれて行け)
あまりにも急な展開にのんびり農家ライフで少し感覚が鈍ったスラーインだったが、当たり前のように自分を置いていこうとするオロルンになりふり構っていられなかった。
「スーラ、お利巧だからお留守番をしていてくれ。お土産にフォンテーヌの野菜やお菓子を見てくるから」
クルル(俺はフォンテーヌにいったこともあるし、どういう国かをよく知っている。俺を連れて行った方が便利だ!)
「う、うーーん……」
クルル……(足手まといになることはない。今までも一緒に旅をしただろう?)
ナタだけではあるが。そんなこといってられない。
「ず、ずるいぞその視線は……!」
使えるものは何だって使う。たとえファデュイ執行官第一位「隊長」の名にふさわしくないとしても。今それに突っ込めるのは夜神以外いないのだから。
クル!(イファも行くのならカクークも行くのだろう。カクークが良くてどうして俺が駄目なんだ!)
「た、たしかに……」
最後の一押しと言わんばかりに、首が締まらない程度にマントを引っ張った。
そうして、頑固者と言われたオロルンを折れさせるという快挙を成し遂げたのである。
「わかったよ、スーラ。僕だって君と一緒に旅がしたいけど、僕はナタの外へ出たことが無いから一度出かけて感覚を掴んだら君と一緒に行こうと思ったんだ。……こんなに抵抗されるとは思わなかった」
当り前だ。何のためにこのような姿になったと思っているのだ。どこに行くにも、一緒いたいからだというのに。伝えられないのが歯がゆい。いや、知られたらそれはそれで記憶を消してもらいたくなるが。
「じゃぁいこう。ナタの外へ。ふふ、やっぱり君と一緒だと嬉しい」

