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快復は君と共に

​(「快復への願いと共に」のオロルン視点です)

 熱くて、だるくて、気持ちが悪い。
 少し体を起こしただけで頭痛がひどくなっていく。自分の心臓が拍動するたびに強く響く痛み。もはや心臓に止まってほしいとまで懇願してしまいそうだ。
 目を開ければぐるぐると世界が回っておりとてもじゃないが開けていられない。だが、強く目を閉じたところで上下の間隔がどっか飛んで行ってしまったように感じる。
 横になっていても背中が、腰が、足が痛い。仰向けになって寝ていられない。こんもりと掛け布団を丸めるとそこにもたれかかるように前傾姿勢になった。
 やっと少し、楽かもしれない。

 薄目を開ければいつもと変わらない自分の家。いつも通りの。なのに、なんでこんなに寂しいのだろう。
 いつからか、そばにある温もりがあった。どこに行くにも、何をするにも一緒の存在。なのに今ここにいない。
「す、ーら……」
 掠れた声では聞こえないだろう。もっと、もっと。
「すーら、スーラ……」
 どうして。なんでいないの。君も僕を置いていってしまうのか。
 体の震えが止まらない。寒いのか、寂しさからか、恐怖からか、ただ熱が上がるからなのか分からない。少しでも温まろうとくるめた布団を広げたとき、バランスを崩して今度こそ体が宙を舞った。
 

 
 真っ暗闇で天地もわからない。こんな感覚、前にもあったかもしれない。その時は走馬灯のように過去のことが浮かんできたが、今は何もない。ただ冷え冷えする空間だけが広がっているようだ。
 
 怖い。
 寂しい。
 苦しい。
 逃げたい。
 どこに?
 
 ぼやっと姿が浮かび上がる。あれはばあちゃんだ。それとイファに、……隊長。
 一緒にいる時間はとても短かったのに、とても強く輝いて印象に残っている存在。あぁ、君にまた会いたいと思っていたんだ。何を言っているの。どうして背を向けるの。行かないで、ねぇ、

「まって」
「ばあちゃん、イファ……!」
「隊長……!!」

 声を上げて泣けたらどれだけいいんだろう。今更もうそんなことできるわけがない。無垢で純真な子供なんてもういない。声をあげて泣いたって、誰も気づいてくれるわけがない。
 自分の姿も見えない暗闇なのに、自分が涙を流していることはわかる。握りしめた拳に生暖かい水がぽたぽたと落ちてくる。こんな世界なのに、ぬくもりは感じるなんて不思議なものだ。

 不思議といえば、胸元からぬくもりを感じている。自分の体を支えてくれるような、力強さ。
 馴染みのある気配のようだ。だが、何かはわからない。

 ただ一つわかるのは、とても安心するということ。

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